冷静と情熱の間

愛蔵版 冷静と情熱のあいだ (文芸シリーズ)

愛蔵版 冷静と情熱のあいだ (文芸シリーズ)

そんなに興味があったわけではないけれど、偶々テレビ放送を見てしまったので、そういう作品は原作をできる限り読み比べることにしているので買った。普通は、青と赤で辻仁成江國香織が別の本で存在するのだけど、運良く1冊になっているものを見つけたので買った。2冊分だけあり読むのにも時間がかかってしまった。同じ話を2人の立場から見れる作品がまったく別の作者というのはおもしろい試みだと思う。
主人公は絵画の修復の勉強でフィレンツェに住んでいる阿形順正。それから、ミラノで紳士なアメリカ男と付き合っているお風呂好きなあおい。順正は過去を修復して未来につなげる修復士という仕事に誇りを持っている。フィレンツェという歴史ばかり大切にして未来に進めない街も気に入っている。今はめみという恋人と付き合っている。あおいはアンティーク宝石店でバイトをしながら、マーブというアメリカ人の恋人と同棲している。
順正とあおいは大学生時代に付き合っていた。お互いに子供で青臭くもあったが、本気で付き合いいつも一緒にいた。ある時、子供を勝手におろしてしまったことで喧嘩になりそのまま別れてしまった。ただ、何気なくした「30歳のあおいの誕生日にフィレンツェのドゥオモにのぼる」という約束だけを残して。
順正の担当していたコッツァの絵が工房で何者かによって切り裂かれてしまった。それにより工房は閉鎖に追い込まれ、それを機に順正は人生を見つめなおすために東京に戻ってくる。そこには画家のおじいちゃんがいて、いろいろとアドバイスをしてくれる。めみもついてきたのだけど、本当に恋人なのかということで喧嘩してしまう。心の中にあおいがまだ残っていて、どちらも愛すことはできない。
その後、友人や親戚の話で順正はあおいの行動の本当の意味を知る。おおいは順正の父親に言われて子供をおろしたこと、じつはもう子供は助からなかったこと。それをただ謝りたくてあおいに手紙を書く。それからは順正はドゥオモでの約束だけを頼りに生きる。あおいも手紙が来た日から順正のことばかり思い出すようになり、マーブとも分かれて自分で暮らすようになる。
そして、約束のあおいの誕生日に順正はドゥオモに上る。あおいを待つ。日も暮れかけた降りようとした頃にあおいが来て、一緒に食事をして部屋に行き、愛し合う。それから3日間は美術館に行ったり、お互いの話をして離れていた8年間を取り戻そうとする。それでも埋まらない溝を感じて、お互いの生活を壊さないように考えて、引き止めたい気持ちもあったが、2人とも我慢する。別れたあとに、今が幸せならばあおいはドゥオモに来ないことに思い当たり運命を変えるために、初めて未来のためにあおいを追い越す列車に飛び乗った。

映画では確か最後は再開して、ハッピーエンドになった感じがしました。
あんまり2人の人が書いている感じのしないところが、打ち合わせをちゃんとしたのか、理由は分からないけどすごいと感じた。あとはやっぱりうまい人の小説だなぁと思ったくらいであんまり印象的ではなかったかもしれない。読むのに時間がかかりすぎてしまったことも理由にあるとは思うけれど。」