言葉

 涙

涙はどうして流れるんだろう? 悲しいから? 辛いから? 笑いすぎて? 目が渇いた? 悔しいから? うれしいから? 人それぞれ理由があって いつも同じりゆうじゃなくて でも 今の涙は がんばった僕のために流す

 幸福な死に方

どんな動物でも死ぬまでに 打つ脈拍の回数は変わらないと聞く 人間も例外ではない 犬や猫の脈拍は速い そして早く死んでしまう ということは もしも僕の脈拍が速くなれば 早く死んでしまうんだろう いつも好きな人といて いつもドキドキしていたら すぐに死…

 翼

人はよく生まれる前は翼があったと聞く 母親の身体からでるときに置いてきたと 失くしてきたんだと聞く 僕には生まれてからも翼がついていた 今だってなくしていない ちゃんと背中についているんだ それは今ではぼろぼろなのだけど 羽が抜け落ちて 斑によご…

 贈りもの

物理的なものでしか気持ちとは伝えられなかった 例えば高価なもの それでしか伝える術を僕は知らない でももらった側の判断なだけで きっと値段なんか関係ないのだろう 誰からとか 気持ちのこもり具合だろう 言葉にすればわかる でも実感は湧かない だから僕…

小さな手のひら

昔から上を向いてしか眠れなかった 明かりを消して どこまでも続く暗闇を見ていた 手を伸ばせば触れることのできる天井 そう 暗闇は無限じゃない そのうち暗闇にも目が慣れてきて 濃い黒と薄い黒になる 手の輪郭が見える 見上げた僕の手はただ黒い ドラムで…

 運命

それは変わらないもの それは過去であり 未来であり 現在である それは初恋の人であり 一番大事だったあの人であり 友人であり 小学校であり 中学校であり 高校であり 大学であり 社会そのものであり 豚の死なない日であり 軽音楽部であり 学友会であり とに…

 雪

人の死の上に降り積もる雪 その小さな1粒1粒は思い出でしょうか 目を凝らさなければ見えない結晶 純白で 綺麗で 果敢なくて でも1つ1つ 確かに形は違う 多くが集まって みんなに訴える 生きてきた証のように 降り積もれば 降り積もるほど 死を隠してしま…