レタス・フライ

レタス・フライ (講談社ノベルス)

レタス・フライ (講談社ノベルス)

森博嗣の短編集です。本編というか、今までの主なシリーズの登場人物が出てきたのは、最初と最後の短編だけかな。最初の短編は名前も出てこないからシリーズ読んでいないと分かりそうもない。驚いたのは、森博嗣も5ページくらいの超短編書くんだねって驚いた。
ラジオの似合う夜、檻とプリズム、証明可能な煙突掃除人、皇帝の夢、私を失望させて、麗しき黒髪に種を、コシジ君のこと、砂の街、刀之津診療所の怪を収録。
「ラジオを似合う夜」は、もう警察をやめたい人の最後の出張の話。その人を好いている女の人の国に行く。多分、そこはいろいろ問題を抱えている国。やがて内紛に発展する。多分、紅子さんの元だんなさんの話なのかな。
「檻とプリズム」は、檻にとりつかれているような男の話。実は殺人者。ある女の子との会話でもう殺人はやめてしまう。
「証明可能な煙突掃除人」は、親子で街1番の煙突掃除人の息子のほうの話。街で1番大きな煙突で死んでしまった父親の跡をついで、そこの掃除をする。吸い込まれそうになって落ちたそのとき、地震で煙突が折れて助かる。
「私を失望させて」は、桃太郎を題材にちょっと現代風に解釈して女子高生が別の女子高生に話す話。小説というか物語のリアリティなんかの境目の分かる良い話。
「コシジ君のこと」は、毎日夢にでてくる昔の友人の話。でも、死んだことをするとそれ以降はまったく夢にでてこなくる現実にもよくありそうな話。なんか短編向きのお題という感じ。
「麗しき黒髪に種を」は、昔いじめた黒髪の女の先生がいる。黒髪にくっつき虫と呼ばれる植物の種を投げつけていた。ある日、バイト先の遊園地のゴーカート場でカートのエンジンに髪が巻き込まれて亡くなった人がいた。別に人なのに先生を思い出した。その黒髪には、種から芽がでて葉が茂り花が咲いた、そんなイメージが浮かぶ。
「砂の街」は、砂が撒き散らされるようになった故郷に帰ってきた青年の話。そこで、おじさんに女性を紹介される。女性は最後には砂になってしまう。
「刀之津診療所の怪」は、加部谷、山吹、海月、西之園が登場。山吹と海月の生まれ故郷の島に泊まりに行く。そこで心霊スポットらしい刀之津診療所を尋ねる。幽霊や病気の治らない男の子の話、いつも刀をもってくるなぞの男。診療所の医師に聞くと全部謎はすぐに解けた。本人に聞くのが1番良いという教訓。