千年女優

千年女優 [DVD]

千年女優 [DVD]

このあと書いてあることはおもいっきりネタバレなので、気にする人は読まないほうがいいです。しかし、うまくまとめられなかった。展開的にもすぐにあれどういう状況?って感じになってしまった。取材という形だけど、女優藤原千代子の映画を社長と社員が登場人物になり、追体験していく形。時代や映画が変わってもあの人と女優と警官が何度もでてくる。
集中してみないと話がつかめなくなるけど、最後までみるとけっこう感動する。最後の鍵を取り戻してからあの人をまた追いかけていく場面の時の転換が良い。エンディングテーマの平沢進の曲もドラマチックだった。



宇宙基地からスペースシャトルが発射する。女優が必ず会いに行くとという約束をしたので出発しようとしている。それを引き止める男。そして、それは映画の中の話で、男がそれを見ている時にちょうど地震が起きた。それからビデオを巻き戻してタイトル画面。
ビデオを見ていた男は社長で社員と一緒に車で出掛ける。ついたのは銀映撮影所の取り壊し現場。社長と社員は、老朽化した銀映撮影所を閉鎖することになり、そのメモリアルとして創立70年の歴史を支えた大スター藤原千代子さんの即席を辿る映像をつくるというドキュメンタリーをつくりに来ている。そこから藤原千代子のインタビューに行く。
女優藤原千代子はずっと1人で山奥の家に住んでいて、読書と庭いじりをしながら暮らしている。藤原千代子はお手伝いさんに奥様と呼ばれている。奥様が取材を受けることは珍しく、特別な贈り物のおかげで会うことにしたようだ。社長は社名も藤原千代子の好きなロータスにしている。ロータスは蓮の花のこと。さっそく贈り物を出したが、その中身は鍵だった。鍵を社長が持っていたのは銀映で拾ったから。鍵を手に取るとまた地震が起きた。
藤原千代子は地震と縁があり、関東大震災の時に生まれてきた。父は関東大震災で死んでしまったが、残してくれたお店のおかげで母と千代子は暮らしていくことができた。右寄りの時代だったけれど、千代子は少女雑誌の挿絵を見ては憧れていた。女学校に通っていたところ、銀映の専務が気に入ってスカウトしてきた。母は女優になることを反対していた。
ここからは過去の中に社長と社員も参加するような形式になり、追体験していくようになる。女優になって満州の兵隊を鼓舞することでお国のためになると専務は言ったが、母は女は婿を取り菓子屋を継いでいくのが女の本分とつっぱねた。それを聞き千代子は部屋の外に出ていってしまう。その後、雪道を歩いていると大きな風呂敷を持った男とぶつかってしまった。足の悪い男は警察から逃げていた。千代子は警察には逃げた方向と別の道を教えた。男は血を流していてそれを手当しつつ男を匿った。男は故郷に戻り雪の中にイーゼルを立てて絵を完成させたいという。平和になったら千代子をその故郷に招待しようと言った。男は1番大切なものを開ける鍵を首にかけていた。
次の日、男はいなくなっていた。雪の中に血のついた包帯とあの鍵が落ちていた。どうやら警察に見つかってしまい逃げ出したようだ。番頭さんが実は逃がしてくれていたらしく、追いかけるように目で合図をくれた。そこから駅に向かって走る千代子。駅についたときには記者は出発しとこの人はすでに乗り込んだ後だった。乗り込む影だけが少し見えた。そして、いつか必ず会いに行くことを誓った。いつからか映画の話になっていて大ファンの社長はこの場面で53回も泣いたという。
それから千代子は映画の世界に入った。次の映画は満州だというので女優になることを決めた。鍵の君を追って満州に行きたかっただけで、本当は映画なんてどうでもよかった。撮影のために船で満州に渡った。
船上から満州に場面はうつった。撮影で千代子はセリフを忘れてしまっていた。社長の様子がおかしいが、それはどうやら映画会社の甥子の監督のせいらしい。名前などの情報も何もないので、近くで占いでみてもらうことにした。鍵を探している男は北の方にいると言われ、撮影をほっぽりだして汽車に乗った。汽車は事故にあい馬賊の襲撃にあった。
逃げるために別の車両を開けると満州から戦国時代になっていた。千代子も日本風の姫の格好になっている。ちょうど城が他の国に襲われたようで、殿は殺されてしまっていた。別の映画という設定のようだ。自害しようとする千代子の前に糸を紡ぐ謎の老婆の格好の妖が現れた。この世で1つになれないならば冥府で一緒になるためと、お茶のような飲み物を差し出された。それを飲み干す千代子。千年の先も恋を身を焼く薬であったようであった。いずれわかるであろうと言い老婆は消える。社長は侍の格好になり、映画の役になりきり姫を救い出しにきた。殿は死んでおらず捕まっているというので戦姿になり馬に乗り殿を救いに向かった。前から銃を構えた侍が現れ社長は撃たれてしまった。千代子と社蝶で再現をやっているような感じだった。
次は山道を時代劇的な旅装束で歩く千代子。大名行列の籠を襲うと別の女優がでてきて戦いになる。千代子は忍者になり、社長は剣客として助太刀する。社長は足止めをする。千代子は籠の中にいた女忍者の頭領と戦う。あの男は京の都でさらし首になるという。それを知り走っていくと女頭領の鎖鎌が足に巻きつき転んでしまう。
転んだところで千代子は花魁になっている。人目あの人にあって預かり物(鍵?)を返して戻ってくるので許してくれと、花魁のえらい人に言っている。城での妖しがまた現れて、運命から逃れられないと言う。花魁の偉い人もずっと前からでてくる女優で、運命から逃れられないらしい。千代子はとじこめられてしまったが、社長によって逃げることができた。浪士(あの人)は牢やぶりをして逃げたらしい。あの人を千代子が探しているとその浪士とぶつかってしまった。偶然会ったときからずっと探していて鍵を渡そうとしたが、追っ手がかかったので浪士は「いつか約束した場所で」と言い残して逃げてしまった。追っ手にはまた逃げた方向と別の方向を教えたがばれてしまったところを、社長がまた助けに来た。白馬を呼びそれにのって千代子は逃げた。花魁から町人の姿になっていた。
そして、時代的には明治のようになり、千代子は貴婦人の格好で白馬は馬車になっていた。そのまま時代は進み、千代子は着物の女学生風で社長の引く人力車に乗っている。社長が転ぶと人力車は自転車になり、千代子はそのまま坂を駆け下りていった。そこにまた民権運動家(あの人)を探す警官とでくわす。警官につかまり拷問されてしまう。牢の中ではれいこという例の女優と話をする。社長は金持ちの保証人として千代子を牢からだしてあげる。ここで時代がかわり、あの人は捕まってしまっていた。
入っていた扉を叩いて開けて追いかけていった先は、空襲の時だった。千代子は燃える蔵に行こうとしてれいこに怒られる。防空壕に非難していたが、空襲が止んでから焼け落ちた蔵の跡にいく。蔵の壁にはあの人が描き残した千代子の絵があった。そこで千代子は倒れてしまう。妖かしがまた逃れられない運命という。
現実に戻りソファで千代子も倒れていた。そこから千代子が昔話を語り、いつかあの人に会えると信じ、もしかしてあの人が映画で自分の笑顔を見てくれるかもしれないという希望があった。ここで社長が銀映撮影所にいたことがわかる。千代子は監督に口説かれるがなんとか断った。また撮影になり、千代子は鍵をなくしてしまったことに気づいた。スタッフ全員で鍵を探すが見つからなかった。実はれいこがとっていたのだけど。
千代子は女学校の先生になっている。生徒にその好きな男の人のことをいろいろ聞かれるが顔も何も思い出せなかった。
鍵を紛失することにより胸に穴が開き、それを埋めるように監督の大滝と結婚をした。ある日夫の書斎を掃除していると夫の荷物の中から鍵を見つけた。れいこが鍵を盗んでなんとか監督と結婚させようとしていた。実はれいこは満州で占い師を使って千代子をはめようと思っていたらしい。1人の男を追いかけている千代子がいつまでも若いことがねたましかったらしい。しかし、それも疲れてしまったと。
その時に千代子さんにお客さんが現れた。思想犯としてあの人を追っていた警官だった。傷痍軍人として旅をしているらしい。実はあの人が千代子宛てに書いた手紙を持っていてそれを渡しに来たらしい。夫の書斎で見つけた鍵を持って飛び出し、約束の地北海道へ電車で向かう。電車は土砂崩れにあってしまう。迎えのバスを待てずに千代子は電車からおり走り出す。今までの映画の場面がよぎる。社長は長距離トラックの運転手として千代子を乗せて行く。トラックはバスになり、バスは雪で足止めをくうが、千代子はまた自分の足で走り出す。雪の中を歩いているがいつのまにか月面を宇宙服で歩いている。
坂をのぼった先にはあの人が書いた雪景色のイーゼルがおかれている。そこには振り向いて手をふるあの人の姿が。それでも追いつけなかった。でも千代子は諦めずどこまでも会いに行くという。そして、最初のスペースシャトルに乗り込む場面になる。俳優はいつのまにか社長になっている。その発射場面の撮影中に地震が起きてしまい、若いころの社長と千代子は天井の下敷きになってしまう。ヘルメットに写った妖かしを見て逃げてしまった。若い頃の社長はそこで鍵を拾う。
それから千代子は引退し30年の間隠れて暮らすようになった。あの事故のときは、千代子はもう若くないと知ってしまった。老いた姿をあの人に見られたくなくなってしまった。その時また地震が起きた。そしてまた社長は倒れてくる柱からかばった。実は例の警官から社長はあの人を拷問で殺してしまったというのを聞かされていた。千代子さんはいない人をずっと追いかけていたようだ。
病院のベッドで鍵を握り、死ぬということで追いかけていくと言う。鍵はあの人の思い出とあの頃の自分という大切なものをあける鍵だった。