リーガル・ハイ 第5話

2010年夏、事務所で必死に書類をシュレッダーにかけている男。その男には逮捕状がでていて徹底的に調べられるだろうが、先生の検察の手が伸びないために口を割るなと念を押されている。その男はネクタイで首を吊って自殺した。それは富樫議員秘書の浅井信司だった。その新聞記事を理髪店で眺める検事巽、その隣には三木。三木は富樫に手が出せないことを口にして有力情報を理髪店で手に入れるなんてこともあると意味深に告げる。その後、富樫は結局東京地検特捜部により収賄容疑で任意同行になった。
現在、古美門事務所では黛が古美門の命令で蓮舫田中真紀子のモノマネをやらされている。お前は意外となんでもやると遊ばれていて、黛には次の選挙で国会議員になり、うっとうしい法律を改正してほしいと言った。黛なら富樫に金をもたせて尻を触らせれば当選確実だから、今度会いに行こうなんて言っている。その富樫は裁判中らしいが、テレビの速報を見ると有罪で実刑2年5ヶ月になっていた。
古美門と黛は富樫の屋敷に弁護の依頼で訪れた。古美門が言うには判決は妥当であるようだった。しかし、富樫側は不満であり控訴したいところなのだが、お抱え弁護団は控訴しても勝てるかどうかわからないのというのでクビにした。富樫は牢屋に入らなくて済むようにしてほしいと札束をだしてきた。しかし、古美門は信条として自分にふさわしい報酬を得ることとうけた訴訟は必ずあることだといって金をうけとらなかった。敵は検察であり霞が関全体であるので控訴理由なども綺麗につぶしてあり、裁判所も富樫にはもう諦めろと言っている、汚い金にまみれた政治家が捕まるのは自業自得ですと。富樫に小切手に好きな額を書くようにいわれると思わず0をたくさん書いてしまったが、黛にとめられ我に返り、控訴期限までの1週間を考える時間をくださいと言った。負け戦をしないのは大事なことだと富樫もそれで納得した。
古美門事務所では、富樫の事件のおさらいが行われていた。収賄事件は2005年の目黒区のビルの代金の2億5000万円の出どころが不明から始まり、花林工業からの不正献金が疑われ、金庫番といわれた秘書が自殺をして迷宮入りになりそうになった。しかし、その秘書の部屋から証拠になりそうなメモがでてきた。それにより他の秘書が口を割っていった。古美門は今までボロを出さなかった富樫側から、証拠がでて次々と秘書が口を割ったのは都合がいいと言った。どういうことかは検察の巽士郎に直接聞いてみることになった。
控訴期限まであと6日。理髪店でヒゲをあたっている巽のもとに、古美門が訪れた。マスコミでイメージを落とし悪徳富樫を陥れ、そこに検察登場で逮捕というのを褒めた。しかし、書類を処分しまくったのに肝心のメモだけあるのはおかしくないかと質問した。巽には今までも捏造疑惑をあるといい、今回もしているだろうと言った。根拠は古美門が自分も同じ穴のムジナであり同じ臭いがするからだと言った。それを暴くので控訴に備えて下さいと言った。
古美門は今は運輸会社につとめている富樫の元秘書向井を訪ねた。最初に口を割った理由を尋ねた。検察に朝から晩まで取り調べられ、勾留期間がすぎれば別件で逮捕されまた取り調べ、娘は学校でいじめられ家庭は崩壊寸前、誰でも頭が変になると答えた。それでも耐えていたが決定的なメモがでてきて、今なら執行猶予ですむといわれ折れてしまった。捏造を疑ったが筆跡も浅井のもので、内容は全部正確であり本物だった。富樫より妻と娘のほうが大事だと語った。
富樫の屋敷を再度訪れ、カニをご馳走になった。期限までは待つと温厚に言っている富樫であったが、待たせておいたあげくごめんなさいでは済まないよなぁ、金を積めばなんでもやる人間をたくさん知っていると脅した。
古美門事務所では、黛がおびえていた。古美門も平静を保っていたが紅茶を持つ手が震えだし、黛になぜ最初にとめなかったのかと当たりだした。今度こそやめようと弱気になる黛は、服部は古美門を倒すために必要なことではないかと持ち上げた。最悪の場合には服部がモンゴル相撲で守ってくれると付け加えた。
三木法律事務所では、三木が伊勢先生からご満悦の電話を受け取ったと沢地と話していた。沢地に爪をやすりをかけてもらいフーっとやってもらうのが気にいった三木はもう1度と頼んだ時に、ノックと共にドアを開けて入ってきた井手に返事を聞いてから入らないとノックの意味がないと叱った。要件を聞くと富樫が古美門と接触しているという情報をもってきたのだった。
控訴期限まであと4日。富樫の屋敷で、秘書にメモの内容の正しさをあげ、秘書で作成でき、その中で裏切りそうな者を質問したが、そんなやつはいないと言われた。富樫はここを乗り切ったら総裁選にでるが、年齢的にも最後のチャンスになる。これがどうなるかは古美門たちにかかっていると強く言った。
屋敷の中のキッチンではお手伝いさんが秘書同士の不倫などの噂話をしていた。黛はそこに潜入調査に入る。古美門は密偵の報告時間だと去っていった。
理髪店ではまた辰巳と三木が接触していた。古美門が来たことを告げ、今回の件は三木にちゃんとお礼をしないといけないと辰巳は言った。あの情報は私の秘書が持ってきたと三木は言った。理髪店には加賀蘭丸がいて、それをにやにやしながら聞いていた。
黛はお手伝いさんたちと居酒屋でべろべろになりながらも飲んでいた。お手伝いさんがポイントカードを落としたのを拾ってあげたが、そのまま吐きに外にでていった。
加賀蘭丸は沢地のあとをつけていたが、地下道でまかれて待ち伏せされ、腕ひしぎ十字固めをされた。沢地には加賀が古美門の密偵だとバレていた。今夜は飲む相手がいないのと意味深に沢地は誘う。そのまま食事をする。蘭丸の素性をいろいろ質問する。本職は売れない役者で、やばいことで捕まった時に古美門に助けてもらって以来、弁護士費用の代わりに密偵をしている。沢地にもお返しの情報をくれというが、そんなつまらないものではヒントはあげられないと断られた。ただここのお店はカップルがよく来るとだけ言った。
古美門事務所に、加賀が来たが大した成果はあげられなかったと事の顛末を語った。三木が検察になぜ情報を提供したのか、反富樫派の長の現幹事長伊勢が三木のクライアントで、過去の伊勢の献金疑惑の時に富樫を売って事件をかき消していたようだった。今回も伊勢が絡んでいると推測される。そこにお酒でつぶれて唸りながら黛が帰宅した。こちらも失敗かと嘆く古美門であったが、黛は裏切り者が完全にわかったと自信満々だった。酔っているせいで気が大きくなり、古美門をこみと呼んだり、人にものを頼むなら黛先生この無能な私におしえてくださいだろと言った。その時には黛はもう寝てしまっていて、古美門はゴルフクラブで殴ろうとした。
お手伝いさんの話では、江藤が隠れて携帯で伊勢先生にこの身をささげますと電話していたという。その情報を元に、控訴期限39時間前に喫茶店に江藤さんをたずねる。検察にメモの情報をリークしましたねと詰め寄る古美門に、江藤は買い被りすぎだと言った。自分は古いだけで金の問題はタッチさせてもらっていない、信用されていないと語った。伊勢と通じていることは本当で伊勢のところにいくが、それは江藤も了承済みだと言った。国会議員になるために20年富樫に使えたが、お前は器じゃない、秘書が嫌ならでていけと候補にも立ててくれなかった。自分の年収は池の錦鯉よりも安かった、人生を大分無駄にしたと悲しそうに言った。
富樫に江藤のことを聞くと、あいつは凡人だから裏切る力すら持たせていないと言った。黛は身内にも冷たく、お金ですべてを解決する富樫のような人に総理になってほしくないと語った。それに対し富樫は先生と呼ばれる人たちはなぜ先生と呼ぶかを説明した。何かをしてもらう相手にはへりくだる、教師には教えてもらう、医者には直してもらう、弁護士には助けてもらう。では政治家にはどうしてもらうか、稼がせてもらうのだと説明した。金と権力目当てでみんな群がってくるから、身内すら信用しないのだと語った。
古美門事務所では、知れば知るほど富樫を嫌いになる、このまま控訴せずに捕まって欲しいと怒っていた。古美門はそれは正しいが、金と権力は表裏一体、金のあるところに権力があつまり、金のあるところに人は集まると言った。しかし、この国では金を集めることは悪と呼ばれ、愚民はクリーンな政治を支持するが、その結果力のない何もできない政治家ばかりが増え、力のある政治家は牢屋にはいり、そして日本の政治家はだめと同じ国民が嘆くといった。富樫を擁護するわけではなく、こういう見方もあるという話だった。身内すらも信用できず、心を許せるのが池の鯉だけというのも辛いだろうと語った。
三木法律事務所では、富樫の控訴期限が明日までという話をしていた。まだ控訴はされておらず、さすがに今回は古美門はギブアップだろうと言っていた。
控訴期限まであと27時間38分。黛は必死に考えているが、古美門はセグウェイに乗りウロウロするばかりだった。とりあえず控訴するかと提案する黛に、見切り発車では同じこのまま謎の死をとげるのかなと古美門は弱気だった。加賀蘭丸が現れたが情報はないと言った。そのときに黛の上着からお手伝いさんの落としたポイントカードを見つけた。ポイントカードを見ると蘭丸が沢地と飲んだ店だと気づいた。お手伝いさんの住所などを聞き、実は沢地がヒントをくれていたのかもしれないと古美門は何かひらめいたようだった。
控訴期限まであと12時間5分。富樫の屋敷に来て、お手伝いさんの吉岡めぐみを連れ出した。ポイントカードを返し、この店について質問を始めた。自殺した浅井信司秘書の名前をだした。2人がよくお店に来ていたことを調べだしていた。吉岡と浅井は富樫に内緒で付き合っていて、実は計算が苦手だった浅井と一緒に帳簿付けなどをしていたらしい。だから、吉岡の代わりに字をまねして書くこともあった。浅井が議員になったら結婚する約束もしていたが、富樫によってつぶされてしまった。ある日、知らない番号から電話がかかってきて、富樫へ浅井への恨みを晴らす方法があると辰巳が持ちかけて、メモの作成に協力したのだった。これを証言してほしいと古美門は頼んだ。辰巳がなぜかぎつけたかというと、伊勢の顧問弁護士の三木の秘書の沢地と吉岡があの店でよく会い仲良くなったからだった。富樫に土下座して謝るというのを条件に証言台に立つようだった。
富樫の屋敷には、古美門たちと吉岡がきていた。検察の取調べに耐えられるはずがなく、金庫番をまかせた自分の過ちだと土下座した。政治家の謝罪会見のようだと吉岡は怒り、検察に取り調べに耐えられなくなり口を割るより早く自殺するだろうとあの人にまかせたんだろうと言った。それなのにあの人は富樫を恨んでいないと遺書をだした。遺書は富樫への尊敬の言葉であふれていて富樫しか日本を変えられない、自分は富樫のために死ぬのではなくこの国のために死ぬんだ、吉岡への言葉よりもずっと多いと悔しがっていた。お金と権力目当て以外の人もいたようで、浅井さんのような人を育てないといけなかったんじゃないかと黛は言った。
理髪店の辰巳のもとを、また古美門が訪れた。吉岡めぐみを落としたこと、控訴の準備をしていることを伝え、違法収集証拠のことがでまわれば富樫だけでなく他の秘書の有罪もひっくり返り、辰巳の検事としても終わりとなると告げた。古美門も吉岡を法廷に立たせなくないので、他の控訴理由を提案してほしいと言った。辰巳は吉岡のことはしらばってくれて、どんなことをしてでも悪者をぶちこむのが自分のやり方だと言った。その結果が身の破滅だとしても妻も子供もいない自分はこわくないと言った。それは古美門も同じだろうと言った。控訴審では徹底的にやりあおうと辰巳はでていった。
三木の元には古美門がかぎつけたと辰巳検事から連絡が入っていた。ノックしてすぐに入ってきた井出はまた怒られていた。
控訴期限の2時間前にようやく書類ができあがった。黛が提出にいこうとするところで、古美門に富樫から電話が入った。控訴をとりさげることにしたらしい。富樫の屋敷にいくと富樫はもっと勉強しないと上機嫌だった。刑務所に入り、でてから5年は立候補できないと年齢の計算をした。浅井への贖罪だと思われたが、検察の弱みをつかんだという計算だった。富樫は黛をじっとにらみ、良い政治家になる人を見る目があり、黛に議員にならないかと誘った。そのまま時計は控訴期限の12時を越えた。