おトメさん 第1話「姑デビューは地獄の始まり」

水沢麻子(黒木瞳)は庭にようやくさいた赤い薔薇を眺めている。麻子さんと呼ばれ息を飲んで振り向くと姑がいて「棘のある植物は息子の優太にも危ないし、薔薇は臭いがきついし、博行の花粉症にもよくない」と薔薇を切り落とされそうになった。「この庭は誰の庭ですか?この薔薇は誰の給料で買ったのですか?洋服の趣味はいいけれど、いくらしたの?あなたももう中年で昔はちやほやされたかもしれないけど、今はもう何も出来ない主婦よ。妻としてレベルが低いから不倫をしたのよ」と小言をいい結局薔薇は切り落とされてしまった。「言いたくないなら何で言うわけ?おかしくねぇ」と嫁に鬱憤晴らしをするな、あんたが出て行けときれて麻子は近くにあったスコップを振り回した。
目覚ましがなり、「またか」と麻子はつぶやいた。よく見る夢らしい。隣には博行(石田純一)が寝ていた。夢は夢であって現実とは違った。姑はそんなにひどい人ではなく、楯突いたこともない。夢は願望の現れなので切れてみたいという衝動はあるのかもしれない。幸い姑は2年前に安らかに亡くなったので、息子や旦那にそんな姿を見せることはなかった。嫁姑物語は大きなトラブルもなく幕を降ろしたはずだった。
しかし、そんなに甘くなかった。息子の優太(郭智博)は24歳で契約社員であるが、李里香(相武紗季)との結婚を決めた。優太は今まで自分で意見を言ったことがなかったので自分を意見を通して結婚をしたいと言った。李里香も結婚はタイミングと言い、自分も働くから大丈夫だと言った。麻子は経済的不安があるのなら同居しなさいとすすめた。それがないなら愛がないのでしょうと炊きつけた。そして、息子たちは結婚し、同居することになってしまった。
結婚式場で友人の梶原美由紀(鈴木砂羽)に麻子は「おトメさんデビューはどうよ?」ときかれた。最近の若い人は姑のことを隠語でトメと悪口とか言いやすいらしい。麻子は姑で苦労したから嫁には優しくすると言った。李里香は女手一つで育てられ、その母親も高校で失くし家族が欲しかったからと同居を承諾したらしい。ありえないけどねーと麻子は初悪口を言った。新郎新婦の挨拶の前に「今まで子育てご苦労さまでした」と博行は麻子に泣いてもいいようにとハンカチを渡した。
新郎が感動的な挨拶をしたはずなのに、麻子は肝心の涙がなぜかでなかった。息子をとられるのが嫌だと思うわけではないが、ただなぜか不吉な胸騒ぎがしていた。李里香は不敵に笑っているように見えた。


博行は仕事で家族再生がテーマの海外映画を見ていた。半分くらいで止めた。いろんな家庭に浮かび上がる、これがあなたの家族の物語だとキャッチフレーズをつけた。麻子は新婚旅行から帰ってくる李里香をどう迎えるかを電話で博行に相談した。博行は家族だからおかえりでいいのじゃないかと決め、麻子は料理のメニューも気にしていた。水沢家にとって歴史的な日だと麻子は気合を入れていた。不吉な予感を煽るかのように近所をパトカーが通り過ぎた。早めに成田についた優太から電話があり、李里香にも電話を変わった。李里香は良い嫁でしょうと優太に言った。麻子は料理をさらに急いで作る。部屋の掃除もした。
李里香は挨拶するところがあると行ったが、着いたのはラブホテルだった。なんでという優太に「しばらくおおっぴらにいちゃいちゃできないでしょ」と言った。優太は母親がずれているからと李里香との同居を心配していたが、李里香は優ちゃんのためにもうまくやると言った。
博行は仕事場にいながらも、時間ばかり気にしていた。嫁姑戦争にならないためにも今日は早く帰るつもりらしい。しかし、部下の早瀬まるみ(臼田あさみ)がデートの約束を入れようとして断れば愛人だと奥さんにばらすと脅迫してきた。というのは冗談メールだった。しかし、上司の北村満智子(奈美悦子)が今後の会社の方針で話し合いたいことがあると博行に付き合えと言った。
麻子は完璧な料理を作ったが、ガラスに映った自分の姿でびっくりしていた。チャイムがなるとなぜか警察だった。近くに住んでいた人が行方不明になっているらしく聞き込みだった。念のため家族の確認をされた。3人とされたが、今日から家族が増えると説明し李里香を追加してもらった。何かあれば連絡をいい、刑事は帰っていった。近所のおばさん連中が寄ってきて、井戸端会議が始まった。美由紀の姑も通りかかり嫌味を言っていった。ちょうど息子夫婦が帰ってきた。李里香は美由紀にお土産を渡し、そのまま近所の挨拶まわりに向かった。
初めての夕食が始まる。李里香は料理を褒め、家事ができないので教えて下さいねと言った。麻子に似ているとハワイの人形をおみやげとして渡した。
博行は北村と食事をし、家族の話をしていた。平凡に見える女ほどこわい、不倫を見破るのはずっと家にいる女だから注意しろと言った。危険なことはしないと博之が言うと、私としてみる?いくところまでいったら取締役にしてあげると冗談を言った。
麻美は博之が帰ってこないことを心配していた。李里香にワインをすすめられ1度は断ったが、今日は歴史的な日じゃないんですかと言われ麻子は飲むことにした。楽しそうに和やかに食事は進んだ。優太は時差ボケで疲れたからと寝ることにし、嫁姑問題を心配していたが大丈夫そうで安心したと言って寝室に言った。女同士で乾杯がされた。ずいぶんしっかりしているのねとか、主婦は大変ですという褒め合いから、いつの間にか少し酔い始め麻子の姑の愚痴になっていた。博行は事なかれ主義で助けてくれなかったと言うと、それだけならいいですけど博行は不倫していると思うという爆弾発言を李里香はした。麻子は携帯チェックをしていてやっぱり不倫していると、李里香と博行の愚痴を始めた。初めて味方ができたと喜び、李里香をりりと呼ぶといい、私をおトメさんと呼んでくれと意気投合した。博行は帰ってきたが、そのタイミングで麻子は潰れてしまった。李里香はこれからよろしくおねがいしますと挨拶し寝室に引き上げた。李里香は寝室で真顔に戻っていた。
翌日、麻子は二日酔いだった。居間などの片付けに起きると、李里香が綺麗に片づけをしていた。この程度なら大丈夫という李里香に、それを嫌味ととったのか「あ、そう」と麻子は小声でつぶやいた。二日酔いには水と差し出してもくれた。昨日聞いたことは言わないと李里香は麻子に言い、麻子はおもわずむせた。
電話がかかってきて警察がまたやってきた。行方不明の事件は公開捜査となり、家族全員に話を聞くことになった。家族みんな特に知らないようだった。刑事は新婚なら奥さんを大切にしないといけないと真顔で言った。刑事は家をでてからあの家について調べておけと部下に命じた。1人の人間が消えて、同じに1人の人間が来たのであらっておくべきだと言った。
美由紀の姑は刑事が水沢家をさぐっているとわくわくしていた。美由紀と姑はどうもうまくいっていないようだ。行方不明からそのうち死体があがると子どもたちに変なことを教えていた。美由紀が注意するが姑は全然聞いていなくて、旦那さんもその様子も気にしていなかった。
博行が行方不明の件で李里香が来たばかりだから気をつかってあげろと麻子にいうとあの子は強かだから大丈夫よと返した。2人で映画でも観てこいと試写会のチケットを渡した。お義父さんってほんと素敵とお礼をいうと、からかうものじゃないと麻子は釘をさした。笑いながら見つめ合う2人にたいして、優太と博行はすでに不安そうにしていた。博行と優太がカフェでコーヒーを飲んで話していると、美由紀の旦那さんが来て嫁姑は憎みあうものだからどうしようもないので、何もしない何もかんじない方がいいと言った。仕事に逃げるのがいいと意気投合し、優太も早く正社員になって別居しようと人生で初めてのやる気をだしていた。
麻子は美由紀に無理矢理ワインを飲ませてあれこれ聞き出されたと愚痴を言っていた。美由紀はあんな小娘敵じゃないわよと言ってパートに言った。八重の薔薇の花言葉はプライド、びくびくすることはないわと言い聞かせていた。
家に戻ると李里香はデートの誘いをロスにいると嘘をついて断っていた。帰ってきたらデートするという言葉にびっくりして麻子は階段から足を踏み外し落ちそうになった。李里香が部屋から出てきて引っ張りあげた。試写会に行こうと誘いに来たと麻子はごまかした。
博行は映画の宣伝グッズが手直しされていないことに怒っていた。博行に優太から着信があった。試写会に誘った映画の内容がやばいと言った。優太はイケメンで新婚はいいねぇと正社員に嫌味を言われていた。
麻子と李里香は試写会に言ったが、李里香は寝ていた。博行はちゃんと映画の内容を調べて最後まで見ないとダメだなと後悔していた。目を覚ました李里香の携帯に男から少しでも会いたいというメールが来ているのを麻子は覗き見てしまった。席をはずす李里香。そこで映画は嫁が姑のサンドイッチに毒をもって倒れてしまい、それを嫁が笑っている映像が写っていた。嫁は渡しは悪魔よと高笑いしていた。
李里香は電話で30分だけ会うと約束していた。映画の結末を聞かれ嫁が姑を殺した、嫁は不倫をあばかれて口止めしたのと麻子は嘘を言い、本当は最初から嫌いだっただけと言い直した。カフェで話しながら李里香は好き嫌いが多く、優太は私の一目惚れだったと言った。そのまま李里香は1人で買い物に行くと麻子と別れた。優太のためと言い聞かせ麻子は李里香の後をつけた。さらのその後ろを刑事が尾けていた。
ショッピングセンターは嘘でどんどん人の少ない方に歩いて行く李里香。麻子は歩きにくいヒールを脱ぎ上着も脱いで後を追うが、狭く居酒屋などがたくさんある場所で李里香を見失ってしまった。麻子は帰り道すら分からなくなり道に完全に迷ってしまった。座り込んで泣き出す麻子に刑事が現れ困っているようなので声をかけてきた。麻子は捜査の一環ということで刑事に送ってもらえた。行方不明の人はいつもどおり家をでたが都庁に出社せず姿を消したらしい。家族に行き先の心当たりもないらしい。そういうこともあるかもと麻子は答えた。嫁が良からぬ隠し事をしているのではないかと麻子も疑っているらしい。家族の問題はほじくりかえさない方がいいのじゃないかと刑事はアドバイスした。
麻子が警察に送ってもらったのを美由紀の姑が見ていた。家の鍵は開いていた。しかし、居間は暗いままだった。刑事はああ言ったが家族の問題だから放っておけないと麻子は思っていた。麻子は声を掛けて李里香の部屋に入った。しかし、李里香がいなかったのでクローゼットなどを物色しはじめた。すごい下着や100万もする高価なバッグを発見する。バックの中の黒いアドレス帳には男の住所と男に会うスケジュールがたくさん書かれていた。役職の高い人の名刺ばかりでてきた。そこに李里香が帰ってきて麻子は焦る。李里香は2階の自分の部屋でカーテンを閉めている麻子を発見する。欲しいバッグが見つからなかったことや夕飯の相談をしながら麻子はしまい込めなかった名刺を踏みながら部屋の外に出る。その名刺を拾い上げて麻子がでていこうとすると、李里香が呼び止めカーテンをしめたことのお礼を言った。
その態度に麻子は嫁がとてもこわくなった。しかし、家を守るために震えてばかりもいられなかった。不実な博行はまるみと不倫デートをしていた。頼りない息子はまだ仕事をしていた。あの刑事は仕事中にお酒を飲んで、捜査会議をしていた。李里香はいつもどおりにふるまっていた。