解夏

解夏 (幻冬舎文庫)

解夏 (幻冬舎文庫)

さだまさしです。映画にもなっていて石田ゆり子とだんだん目が見えなくなる病気ということで気になって買った本です。映画になっているわりには短いお話でした。この本は4つの話からなる短編集でした。個人的には他の話の方が好きだけど、映画にするにはやっぱり解夏が1番わかりやすくドラマ性があるのでしょうね。
解夏」はベーチェット病という難病です。これは目がだんだん見えなくなったり、口の中やそのほかの部分に湿疹がでて痛む感じの病気。目が見えなくなるのは突然だったり緩やかだったり個人差があるらしい。不思議なことにこの病気は完全に失明すると完治するみたい。目が見えなくなるその日までに自分の故郷の長崎の街を覚えようとする主人公とそれを支えることに決めた恋人の話。
秋桜」は日本の農家に嫁ぐことを決めたフィリピン人とそれを護る夫と義父、義母の話。人を護るのは簡単じゃなくて口で言うのは簡単なんだけど、それを実行するのは難しい。ちゃんと理解すること。コスモスはもともとメキシコの花でそれがいつの間にか日本に定着した。フィリピン人の嫁もそのように日本に定着しなさいってこと。
「水底の村」はすれ違ってしまった幼馴染の話。一時は恋人になり別れてしまったけど、自分の子供かもしれない子と連絡をとりあううちに、元々住んでいたダムのせいで水底になってしまった自分たちの村に帰ってくる話。
サクラサク」は惚けてしまった父親を通してやっと家族の綻びに気付き、最後に父の昔住んでいた家を探してその桜を探す家族旅行に出かけて、なんだか少し元に戻す話。「蛇口をひねる」心が離れてしまった人たちの絆を戻すキーワード。最初はにごり水しかでてこなくても、いつか澄んだ水になる。