ねずみの進化系統樹と大きな存在

20歳くらい。
大きな山の上の比較的大きな自分がいる。そこから自然というか世界を見下ろしている。隣には灰色の大きな二足歩行のねずみがいる。
自然はというのは、ジャングルや大きな川、そして茶色の地面。木々の緑はバックとして、そこに茶色の地面が筋として道のように見える。隣のねずみはすごく理知的な話し方をする。左手には辞典のようなものすら抱えている。
「この地面はねずみの進化の系統樹を示しています。何種類かのねずみは絶滅してしまったので、ああして系統樹は途切れて終わっているのです。これは悲しいことです。しかし、ねずみたちはそれでも生き残るためにあるものは、あるものは毛皮をなくす進化をし、あるものは母なる海に帰り海中にすら適応したのです。」と茶色い筋を指差しながら話す。「我々ねずみの一部の進化を閉ざしたのは、にっくき人間による発明チキライザーです。いわゆるねずみよけの餌です。あれを食べてねずみはたくさん死にました。」「じゃぁ、僕も含めて恨まれているのですね?」「そういうことになります。しかし、私もあなたも普通の人間でも普通のねずもでもなくなってしまっているのです。ただこうして大きくなり上から見るだけの存在となりました。自分の一族がいかにおろかにことをしているかを見ても、何の助言も与えられず、ただ見ているだけの存在です。それは苦しいことかもしれません。でも、仕方ないのです。我々は見るのです。」