タイムスクープハンター シーズン4・第1回 「通貨危機!古代ニセ金捜査官」

タイムスクープハンターシリーズはけっこう好きで見れるときは見ていた。今期になりシーズン4が始まったのでまた見ることにした。確かシーズン3の最後は要潤の演じる主人公沢嶋雄一は毒矢で死んだか、気を失い野党につかまったように思うのだけど、どういうつながり方をしているのだろうか。


西暦760年(天平宝字4年)4月21日にタイムワープ。大和国(今の奈良県)を京職(きょうしき)の下級役人2人が雪の山中を歩いている。京職というのは、律令制において都の行政・治安・司法を統括した機関。役人2人は、貨幣製造工房から重要な硬貨が盗まれたのでそれの捜査中。偽金取締りの役人に密着し、奈良時代の貨幣をめぐる犯罪の実態に迫る。
操作にあたっているのはベテランの忍坂部広成(おさかべのひろなり)と新人の生江清友(いくえのきよとも)の2人。清友は役人になったばかりで今日が初めての現場勤務。緊張はしているが職務はいつもこうあるべきだから、この緊張が心地よいという。捕まえた人の罪状を記録する書記官という立場で、まだ位はとても低く位階は無位で、昇進には6年くらいかかる。将来的には通貴(つうき)の位に就きたいという。通貴というのは四位、五位の位階で、役人ならば誰でも憧れる位である。律令制における役人の位は高いのは一位から八位、初位、無位とさがっていく。五位からは給与や待遇がとてもよくなり高年収である。与えられた職務を全し評価されると位は徐々にあがっていく。今回が初の職務の清友も失敗がyるうされない重要案件となっている。
硬貨窃盗容疑をかけられているのは、貨幣製造工房で働く職工で硬貨偽造の疑いをある秦人部浪魚(はたひとべのなみうお)という容疑者である。家につくと容疑者は市に行き留守で妻がでてきた。浪魚が役所から種銭を持ち出した容疑を話し、自宅の強制捜査に入った。盗まれた硬貨は間もなく発行される新しい貨幣萬年通宝の種銭だ。種銭は硬貨製造の鋳型のもとになる銭で、これがあればニセ金を容易につくることができる。証拠となる種銭はなかなかみつからないが、硬貨製造の道具を発見した。その時に病気で伏せている子供も発見した。妻に夫が罪になるかを尋ねられると、現状ならばそんなに重罪ではなく鞭罪か杖罪だろうと清友は答えたが、広成が言うには種銭窃盗はもっとも重い流罪になると答えた。知っていてかくまった家族も同様になるという。病気の子供をどかして探すと地面の不自然な部分を掘り返すと、胞衣壷(えなつぼ)がでてきた。胞衣とは胎盤のことで、胞衣壷には胎盤とお金などを一緒に生めることで大地の神に子供の健康を祈ったらしい。このような習俗は縄文時代から続いていたとも言われている。奈良時代にはお金には特別な呪力があり、神社の地鎮などにはたくさんのお金が埋められたらしい。この壷には古い硬貨しかなく、種銭はなかった。
操作中に容疑者が帰宅した。逃げ出す容疑者を追いかける役人2人。確保した容疑者を問い詰めると懐から種銭を出した。萬年通宝は、その前の貨幣の和同開珎の10倍の価値がある。それを知っていた容疑者はニセ金をつくろうとしていた。動機は病気の子供を薬を買いたかったという。物価の高騰と貨幣価値の下落など長引くインフレで庶民の生活は苦しかった。しかし、犯罪は犯罪であり、ニセ金作りは貨幣の信用を揺るがす重大な犯罪なのだ。
容疑者を確保し役所に帰るかと思うと、広成は役所とは別の方角へ向かう。ベテラン広成には別の考えがあり、役所の前に寄る場所があるという。着いた先は山奥の一軒屋で役人が出迎えた。家の中に入ると逃亡防止のために容疑者に鈴のついた足枷をはめた。護送は厳重にするのですねと清友が問うと、容疑者を役者へ連れて行かずここで働かせるという。種銭を鋳銭司で働いていた役人に渡し、容疑者の窃盗罪は見逃すが代わりにここでニセ金をつくれと強要した。ここはニセ金つくりのアジトだったのだ。広成がニセ金つくりをする理由は、この先まじめに働いたとしても五位になれないので、ニセ金を使い蓄銭叙位法(ちくせんじょいのほう)というお金で高い位を買う方法を使って五位以上になろうというのだった。容疑者と清友も仲間に引き入れようというのだった。それを断った清友と一緒にタイムハンターも巻き込まれ、足枷をつけられニセ金作りをさせられることになってしまった。
偽造方法を教えられることで、皮肉にも奈良時代の硬貨製造の方法が分かった。粘土に種銭を押し付けて鋳型を造る。和同開珎を材料とした銅を熱し溶かす。溶けた銅を鋳型に流し込む。冷めてから鋳型をノミで割ると枝上の硬貨が現れる。これを切り離しバリをとる。ニセ金造りの容疑で捕まった者は、その技術を生かし本物の貨幣製造を使役として従事することになった。広成たちは嘘の経緯を報告するために役所に戻る。
3時間ほど作業をしていたが、清友は脱走を企てる。役人が用を足しに行った隙に斧で清友は足枷の鎖を切った。2時間後に役人が眠ったところで、鈴を鳴らさないように役人に近づき斧を奪う。しかし、壷が落ちてきたことにより役人に気づかれてしまう。清友と役人がもみ合っている中、タイムハンターのカメラが炎の中に落ちそうになったが、間一髪清友がなんとかとめた。清友はなんとか役人を倒し、荷物をまとめ急いで斧で鎖を切った。その時に広成たちが戻ってきたので、全速力で容疑者の家に逃げた。清友には作戦があるらしい。
容疑者の家で鈴のついた足枷をはずし、妻と子供をまずは逃がす。清友は鈴を束ねて家の梁につるした。そこから縄を伸ばし窓から縄をだし、外から音をたてられるようにした。追っ手を鈴の音でおびきよせるつもりだ。家に踏み込んだところで外から閂をかけて閉じ込める。容疑者が扉を押さえている間に清友が役所に役人を呼びに行った。役人が到着し事件は意外な形で終結した。
萬年通宝のあとも新しい貨幣は何度も発行された。その度にニセ金がつくられ、貨幣の信用は落ちた。新貨幣とニセ金を造る攻防は果てることなく続く。本分を忘れ失墜していく役人もいたが、その腐敗の中でも信念をつらぬき通した者もいた。彼らの働きが教科書に載ることはないが、その勇気は記録するに値するものだった。
その後の調査によると、容疑者の浪魚は重い刑罰を逃れ、5日後に自宅に帰ることができた。清友はまじめに職務を全うし、人々から尊敬される役人となった。高い位には就けなかったが、悔いのない人生を送ったという。


昔からこのような役人の腐敗はあったのだなぁと思った。むしろ昔の方がばれにくいから性質が悪いのか。