dinner 第1話「最高のレストランに最低のシェフ登場」

最初の部分を見逃したけど、ウニの料理について話をしている。ウニは棘皮動物でこんな棘棘の見た目で中もどろどろなのに、最初に食べた人は勇気があるという話。


イタリアレストラン「Ristornte Roccabiana」は大盛況。常連の湯浅(伊武雅刀)がオーナーシェフの辰巳日出男(風間杜夫)と楽しく話し、同じく常連の横山(大島蓉子)が来店し支配人の辰巳沙織(倉科カナ)が応対をしている。給仕長の瀬川壮一(ユースケ・サンタマリア)が横山を席へ案内した。横山は葛城警部シリーズを書いている小説家で、今回は瀬川が犯人が分かったと話すが間違えて見破れずにいた。キッチンもメンバーも忙しく料理を作り、注文票をたくさん順番待ちになっている。ホールではその忙しさを感じさせないように優雅な音楽と時間が流れていた。受付にはひっきりなしに予約の電話がかかってきて、3ヶ月後まで予約でいっぱいになっていた。湯浅もニューヨークフィルハーモーニーの指揮者として有名だが、1番有名なのはオーナーシェフのシーザーこと辰巳らしい。
横山は1ヶ月前に入った新人ウェイントレス中野千尋を呼び、店に飾られている写真を見せた。それは若いころの辰巳が修行していたトリノの名店TERESAだった。この店で働けるのは世界中で探してもほんの一握りだけで、日本人では辰巳だけだと説明した。そんな辰巳の店で働けることはラッキーだねといった。横山はウニの料理のおかわりの注文した。新人はみんな湯浅に解説をされるらしい。しかし、本当は辰巳の他にもう1人だけ日本人が働いたことがあると、ソムリエール・ウェイトレスの本宮恵理子から教えてもらった。
辰巳はコック帽をかぶりホールからキッチンに入った。顔つきが厳しくなる。年配のお客さんなのでパスタや野菜を軟らかめにゆでるなど、客に配慮した指示をだす。1分半かかるところを1分でだせとか、味見をしてもっとレモンを効かせようと的確で厳しい支持をだしていく。厳しい支持を出しながらも、スタッフが子供の誕生日に来ていることや、皿洗いでもお客さんが残していないかを見るのも仕事だと優しい面も見せている。オーナーシェフの注文を読み上げる声にスタッフもいい返事を返す。


沙織にテレビ局のお客さんが来た。アイアンシェフに辰巳にでてほしいという依頼だった。アイアンシェフの会場を沙織は案内される。昔から料理の鉄人を見ていたので、沙織は感激していた。プロデューサーには沙織が責任を持って日出男に出演させると約束していた。アイアンシェフの司会の玉木宏も本人役のゲストとして出演した。玉木もロッカビアンカにはよく行っているようで、辰巳にでてもらえることを光栄だと喜んでいた。
アイアンシェフ出演の話があったことをキッチンで沙織が日出男に話すと、スタッフ全員が応援した。店の仕事があるからとしぶい顔をしていた辰巳だったが、お店のためにもなるし娘のためにもなると説得されて、出演を承諾した。
辰巳と沙織は常連のイタリア大使の妻カーラ婦人の見送りに外に出る。来月の食事会もよろしくねとカーラ婦人はお願いして帰っていった。店をでたら支配人じゃなくて娘ですと辰巳に沙織が飛びつき、みんながここは最高のリストランテと言っていると話すと、辰巳は調子にのるなと言った。店に戻ろうとしたところ、辰巳はこの店はまだまだだと言い聞かせていると、急に辰巳が倒れてしまった。お父さんと必死に泣きながら呼ぶ沙織。
1人のシェフがラジオを聴きながら肉を叩いている。ラジオからは辰巳日出男がクモ膜下出血で病院に搬送され、意識不明の重体というニュースが流れてきた。一瞬手を止めたが、また肉を叩き始める。


辰巳の手術は成功したと沙織は病院で説明を受けた。容態も安定しているが、ただ意識がいつ戻るかわからないと言われた。このまま戻らない可能性もあると告げられた。悲しそうにベッドに寝ている辰巳を見る沙織。
翌朝、沙織がロッカビアンカに行き、みんなが写っている写真を眺める。泣きながら考えこんでしまう沙織に、壮一が副料理今井耕助(松重豊)が作った料理を持ってきてくれた。少しでも食べたほうがいいと言った。なんとか一口食べた沙織は、昔落ち込んでいる時に辰巳がよくリゾットを普段より柔らかく煮込んで甘さを足してだしてくれた、お父さんと同じ優しい味がしますとまた泣いた。今井はキッチンで仕込みを始めた。壮一は辰巳はきっと良くなるし、それまで店を守りましょう。他のみんなもそう思っているはずでと沙織を慰めた。
沙織はスタッフ全員を集め、辰巳の様態を説明し、普段通り店を開けると説明した。スタッフも辰巳さんのレシピと叩きこまれた技術、大事なのはチームワークと愛情だ、辰巳さんが戻ってくるそれまで店を守ろうと一致団結した。今井さんが頼りになると言ったが、少し不安そうなスタッフもいた。


1ヶ月後。キッチンは人も少なく暇そうだった。受付には予約の電話がかかってきて、前は3ヶ月先までいっぱいだったのに、今は当日でも席がとれるようだった。下げられた料理も残されていて皿洗いは悲しそうだった。料理がバジリコ抜きでオーダーが通っておらず間違ったものができて、壮一とパスタ担当のはづきがもめた。今井は新しいものをつくれとはづきに命じた。今井が注文を読み上げるがスタッフの返事にも前ほどの覇気がなく、いつの間にか席をはずしているスタッフもいた。
席をはずしていたパスタ担当の数馬(矢島智人)は控え室で電話で子供の親権問題で妻ともめていた。見習いの梶が呼びに来ると、ロッカビアンカの記事を見せた。辰巳がいなくなったロッカビアンカには客の心を動かす料理もサービスも見当たらないと書かれていた。数馬が今井の力不足だと言っていると、沙織が控え室に現れたので、焦って梶は雑誌を隠し、数馬と梶はキッチンに向かった。前に比べると休憩する余裕があると嫌味のようなものを数馬は残していった。
壮一は最後のお客さんを見送り、店の看板の明かりを落とした。ワイン蔵では魚・肉料理担当の夏野大樹(袴田吉彦)が辰巳がいないので、そろそろ自分の店でも開こうかなと、本宮恵理子に話している。本宮恵理子は都合いい女にされているが、それはお互い様で、恵理子はこの店に残るといった。この店には辰巳がいなくてすばらしいワインのコレクションがあるからと言った。
壮一はドルチェ担当の大塚弥生(池津祥子)と話をしている。甘いものは食べる人を幸せにするが、あまったものを捨てる時は逆にすごく悲しくさせると弥生は言った。お土産のティラミスを壮一に渡したが、3日連続と言っていた。弥生は自分の家の子供は1週間ティラミスだと言った。祥子の子供の小学校の面接には別れた夫は来なくて、うちだけ父親がいなくて変な汗をかいたといい、離婚していないのだからよりをもどせばいいと壮一は言ったが、それは無理と祥子はきっぱり言った。壮一が幸せ家族でいいなと羨んだ。壮一に電話がかかってきて別室で出ると、借金の催促の電話で家には行かないでくれと頼んでいた。
沙織はパソコンを睨んで、みんなの給料が払えないと悩んでいた。スタッフの菊池が現れた。静岡の実家の洋食店で父親が倒れたので、田舎に戻って家を継ぐと言いに来た。すぐにもどってあげてくだい、こっちのことは心配しないで大丈夫ですと沙織は答えた。今井と沙織で見送りをした。菊池のポジションは今井が埋めるので大丈夫だと言った。他のスタッフたちも菊池がやめるなんてと驚いていた。はづきの帰りを刑事が店の外で待ち伏せしていた。もう店に来ないでとはづきは頼んでいた。


沙織は辰巳のお見舞いに行った、酸素マスクはとれていたが、意識は取り戻していなかった。
ロッカビアンカの控え室ではまた数馬と梶が話をしていた。菊池は実家に帰ったのでは嘘で、広尾のサルバトーレというライバル店にひきぬかれていたらしい。裏切りだと梶は言うが、数馬ははやく次の店を俺たちも探さないといけないと梶に怒った。廊下でそれを沙織は聞いてしまった。
沙織が受付の電話にでると常連の橘の予約キャンセルだった。予約帳にはキャンセルを表す赤い横線がたくさんひかれていた。お店は営業中ながらも空席ばかりになってきた。湯浅はニューヨークに戻る前にと来てくれていた。パスタを注文したがウニの料理が残されていた。沙織がおかわりするほど好きだったのに体の具合でもわるいのですか?と聞き、辰巳がいなくなってから何が変わったのかと質問した。湯浅の職業は指揮者で子供たちにおじさんは必要なのとよくきかれるらしい。一流の演奏家がそろっているわけだから演奏はできるはず、だけどそれだけではなんか足りない。楽譜どおり引いているはずが、客の心を動かすことができない。そういうことじゃないかなぁと湯浅は説明した。


今井は最近は夜の仕込み以外に時間もとれるのでランチを始めようと企画書を書いていた。壮一もこのまま何もしないわけにはいかないから全面的にバックアップするから、今井さんの好きなようにやってくださいと応援した。企画書を持って沙織のところにいくと、今までは満席だったのでぎりぎり黒字だったけれど、今日のように39人では赤字だと言っていた。今井がこれからの店の経営について相談があると言うと、沙織も実は相談があるといって、お互いにどっちが先に言うか譲り合った。沙織が先にいうことになり、新しい料理長を迎えてはどうかと言った。今井は企画書を後手でくしゃくしゃにしながら同じ事を思っていたと言った。心当たりとしてテレーザで働いていた江崎究が日本に今いるらしいという情報がありいいんじゃないかと今井も同意して、沙織は探してみることになった。
沙織が紙を手に喜びながら走ってビアンカロッカに帰ってきて今井のところまで来た。調理師の派遣会社を調べたら江崎が登録してあり、本人と電話で話して料理長を引き受けてくれる約束になったらしい。明日から来てもらうことになった。スタッフ全員にそれを報告すると、沙織と壮一と今井の間でちゃんと話して決めたことだと言って、他のスタッフの意見を遮った。今井を覗いたキッチンのスタッフだけで話をしていて、新しい料理長が嫌だとか、今井さんの気持ちとか話しているが、数馬は客は減っているし俺達だけはどうにもならなかったし、今回は沙織がまともな判断をしたと言い、それでもといいかけるはづきに、「嫌ならやめろ。俺達は自分の腕一本で食ってる。」と怒った。はづきはまだ何か言いたそうだったが分かったと言った。
そこで壮一にイタリア大使館から電話がかかってきて、カーラ夫人が帰国しなければならなくなったので、来週予約のパーティが早まって今日になったと言った。スタッフも新しい料理長を迎える前にもう一旗あげようとみんな気合を入れた。
沙織と壮一がカーラ夫人たちを出迎えた。カーラ夫人も辰巳のことを心配していた。そこに別のお客さん(江口洋介)も入ってきて店の様子をうかがっていた。その客はカーラ婦人たちを同じ物と注文した。晩餐会は順調に進んでいたカーラ夫人はここの仔牛のピッツァ職人風はイタリアでも食べられない味だと期待していた。さっきのお客さんはパスタの後に待たされていると苦情をいい、壮一が謝りサービスでワインを注いだ。
キッチンは久しぶりに忙しそうにしていた。ソムリエも重いワインを気合いれて運んでいた。料理を作っていたが、梶の発注ミスでモッツァレラチーズがないことがわかった。今井はスカモルツァの内側部分で代用するとすぐに決めて準備に取り掛かった。仔牛のピッツァ職人風のフライパンの蓋を閉じて開けるのをみんなで待っている。まだですかと沙織が何度も言った所でようやく蓋があけられ、手早くそれぞれが自分の担当の物を置き盛り付けがされた。今井も少し疲れたようだった。
カーラ夫人たちと謎の客に仔牛のピッツァ風が届けられた。謎の客が一口食べてナイフとフォークを置いてしまった。カーラ夫人たちは満足して帰ったようだった。沙織には見送り後に久しぶりの笑顔をした。キッチンにもおつかれといい、今月最高の売上を記録したと報告した。新しい料理長がいなくても大丈夫と調子にのったり、久しぶりに楽しかったとみんな満足そうだった。
そこで謎の客が料理長を呼び出した。今井が自己紹介をし、うしろから他のスタッフも見ていた。自己紹介も遮り謎の男はメインの料理をつくったのは誰かきいた。今井が私ですと答えると、謎の客はプロの料理ではないと言った。数馬が文句を言いにでそうになるところを止めて、沙織がどこに問題がありましたかと対応した。モッツァレラが使えなくなってスカモルツァの内側を代用しただろうと謎の男が言うと、数馬がそれがどうした?と答えた。謎の男は「厨房にトラブルはつきものだし、スカモルツァを使った代用も問題ない。ただスカモルツァはモッツァレラより塩気が強い。それを忘れてトマトソースの塩分を減らすことを怠った」と言った。予約帳の名前を確認すると江崎とあり、謎の男は江崎究だと分かった。契約は明日からだしこれ以上教える義理はないと江崎は帰ろうとした。そこに辰巳の教えに従い一皿にチーム一丸になって愛情をつめこんだ気持ちはわからないと言うと、「その愛情はどんな味がするんだ?料理の味を決めるのは1グラムの塩だ。たった1グラムの塩でこの店は常連客を失う。このままでこの店は潰れるぞ。料理というの食材×料理法というたった1つの方程式で表せられる。お前たちの主張は言い訳にすぎない」と言い残し帰っていた。
外にまで沙織は江崎を追いかけた。江崎の考え方に納得いかないと沙織が言うと、この店は必ず潰れると江崎は断言した。カーラ婦人は帰りの車の中でもうあの店は使わないでちょうだいと運転手に言っていた。沙織はその場に立ち尽くしてしまう。