タイムスクープハンター 第4シーズン第12話「護送密着!最後の6日間」

1712年、小田原の旅籠で女性が刃物で刺される殺人事件が発生。奉行所は奉公人松吉を逮捕した。松吉は事件後、実家の静岡に逃げていてそこで身柄を拘束され、小田原藩町奉行所まで護送され裁きを受けることになった。


1712年(正徳2年)3月4日、駿河国。通常の籠とは違い前後を小物組が固めている。囚人を運ぶ籠だからだ。今回は囚人護送を取材する。
護送に用いられる籠は唐丸駕籠と呼ばれ、それは唐丸(軍鶏)を飼う籠と似ているためである。犯罪人の逃走防止のための籠で、長距離移動に使われることが多い。夜道の護送は危険なため宿場町で1泊することになった。足かせや猿ぐつわもかまされている。食事や排泄の時も籠の中からでることはできない。
朝になり出発した。籠にマイクロカメラを仕掛けさせてもらった。7日前旅籠の女郎お梅が松吉によって短刀で一突きで殺されたことになっている。痴情のもつれから犯行に及んだと思われる。事件後店から松吉は逃げ出し、駿府の実家に隠れていたところ役人にとらえられた。
奉行所まであと10キロになったところで役人が用を足すために籠をとめた。今回駕篭かきは前回も取材したことのある留吉と俊平だった。普段は通常の駕篭かきだが役人に頼まれたらしい。無事に奉行所まで届けるのが今回の仕事らしい。松吉に話を聞くと、松吉は殺していないと答えた。逃げたわけでもなく、休みをもらい故郷の母の見舞いに行っただけらしい。
午後2時45分、無事奉行所に到着。容疑者の入った籠はひきとられた。俊平は任務が終わったがやっていないという松吉の告白で釈然としない顔をしている。その時、タイムスクープ社本部から連絡が入り4日後に重大な事件が起こっていることが分かった。ワープして取材を続ける。
宿屋の前で籠の客引きをする俊平と留吉。古着屋が買い取った商人が血がついた着物を買い取ってしまい、洗剤をほしがっていた。その着物は小田原の旅籠で仕入れたものであった。それを俊平が見せてもらうと血がついていたが、情報と違い胸を一突きとあるが胸の部分には血が少なく、肩の辺りにべっとりとついていた。俊平はおかしいと思い旅籠に行く事に決めたが、留吉には捜査は駕篭かきの仕事ではないと一緒に行くことを断られ、1人で旅籠に向かうことにした。
俊平が1人で旅籠につき客を装い待っているとさよという女郎が部屋に来た。血のついた着物を見せるとさよの表情が変わった。さよが重い口をあけ、お梅の書き置きの遺書を見せた。労働環境のひどさからの自殺だった。それを世間に知られないために店側が松吉とお梅が恋仲とし、松吉に罪をきせていたのだ。この文と一緒にさよに奉行所に来てもらうように俊平は頼んだ。松吉の冤罪とお梅の無念を晴らすために、さよは決心して店を抜け出す。裁きまでは1時間あったが、店の人がさっきの会話を盗み聞きしていて書き置きを奪おうとした。力ずくで奪われ書き置きは破られてしまったが、そこに留吉が来て助けに入った。騒ぎが大きくなってきたので店の者は逃げていった。破れた書き置きはさよが全部拾っていた。
破れた書き置きでは証拠として提出できないので近くの茶屋に入った。のりをさがしたがないので、僧侶の食べていたおにぎりをもらい、その米粒でメニューの紙を土台とし書き置きを貼りあわせ始めた。僧侶も心を動かされ協力してくれた。ようやく書き置きの復元ができ、奉行所に走りだした。
裁きまであと7分というところで奉行所にたどり着き、書き置きを証拠として役人に提出した。しばらく待つと奉行所から松吉の入った籠がでてきた。死罪が決定したらしい。書き置きは裁きの場に辿り着く前に米粒が乾燥して剥がれてしまい元のメニューのしらすという文字だけになっていた。松吉はぬれぎぬだと俊平はとめるが、1度決まった判決はひっくり返らないと役人にとめられた。3人は呆然となった。
そこに米粒を譲ってくれた僧侶が現れた。書き置きが失敗したことを伝える。僧侶は仏法第一の作法「袈裟がけ」を松吉を救うために行うという。袈裟がけは処刑場で僧侶が死刑囚に向かって袈裟をなげ、身体にかかれば刑を免れるというものだった。記録でも袈裟がけで救われた例が残っていた。袈裟は罪人が処刑されるその瞬間にかけなくてはならないので数十秒のチャンスしかない。
処刑場の野次馬をかき分け僧侶の場所を確保した。処刑が始まるときに狙いをさだめて僧侶が袈裟を投げたが、勢いがつきすぎて後ろの屋根にのってしまった。失敗だ。みんなが運命と諦め、処刑人が刀を抜いたその時に、屋根から袈裟が落ち松吉にかかった。立ち会いの役人は仏法に敬意を表し処刑を取りやめた。助けられた松吉はしばらく僧侶と共に生きることになった。
旅籠から逃げ出したさよは店に戻らず、俊平と留吉に故郷まで送ってもらうことになった。松吉は僧侶としばらく旅をすることになった。


その後の取材によると、旅籠の玉よしは奉行所の手入れが入り閉店した。さよは無事故郷に戻った。松吉は僧侶の計らいで実家に帰り病床の母を看取ることができた。12年後に松吉が俊平と留吉にお礼をいうためにたずねるとときには、松吉には妻と3人の子供がいた。
このまま第4シーズンも終わろうかという時、事件が起こった。本部に警報が鳴り響く。トラブルが起きタイムワープが失敗して、沢嶋はどこかわからない場所にワープしてしまったようだ。