タイムスクープハンター 第5シーズン 第1話「賄賂 談合 江戸の闇を暴け!」

もう第5シーズンになるんですね。第4シーズンは多分全部見ました。それ以前もたまに見ていておもしろいなぁと思ってました。ついに映画化まで決まったようで。サラリーマンNEOの映画といい、NHKもドラマを映画化する方向に動いているのかなぁ。人気でたものならありなのかもと思うけど、本当に人気あるのかどうか怪しい。でも第5シーズンまでいくということはやっぱ人気あるのかなぁ。野田ともうします。も映画化しないかなぁ。


道路整備、橋の建設、城の改築、江戸時代にも盛んにおこなわれていた公共事業。その裏で動く不正な金。派手な賄賂、はびこる談合、根絶できない江戸の社会問題、その驚愕の実態とは…。カメラはついにその瞬間をとらえた。
前シーズンに引き続き沢嶋雄一(要潤)がタイムスクープ社に所属するジャーナリストとして派遣される。西暦1659年(万治2年)11月4日、江戸。街の一角に集まった男たちが熱心に読んでいるのは、高札(こうさつ)という奉行所からだされた公共事業入札への応募要項の告知文だった。江戸時代初期から採用されていた入札制度。沢嶋が今回取材するのは、この入札制度だった。
高札を読んでいるのはみんな建設業者だった。その中で1人怪訝な顔を浮かべているのは、橋大工の棟梁源三郎だった。源三郎は最近の入札状況の不満があるようだった。今回の高札には、新たに大橋をかけなおすことが書いてありその内容で入札が行われる。しかし、源三郎はその入札に今では参加することすらできない状況だった。作事奉行(幕府の建築工事を管轄する長官)が変わってからおかしくなったらしい。誰が入札できるかあらかじめ持ち回りで決まっていて、入札できた業者がもうけを仲間に分配しているという噂があった。真面目に大工をやっている源三郎のような業者に仕事がまわらず、自分の利益しか頭にない輩が横行していた。入札制度は、複数の業者が競い合い見積金額の1番安い業者が工事を落札する方式。しかし、裏では落札者をあらかじめ決めておく談合が横行しているらしい。
取材3日目、沢嶋は工事の関係役人と接触し匿名を条件に話を聞くことができた。顔にはモザイクがかかり音声が変更された状態で取材されれたが、この映像内容を江戸時代の役人が見るわけではないから関係ないと思うのだけどなぁ。作事において商人たちは付け届けと称して手土産を持ってくる。酒などを手土産とし、その酒樽の中には小判がぎっしりと敷き詰められている。いわゆる賄賂だ。それで作事奉行から工事の上限費用を聞き出す。費用はこの工事にだせる上限なので、聞き出した商人はその上限額に近い金額で入札しもうける。さらに商人たちは口裏をあわせ、落札をもちまわりにして限られた業者の中だけでもうけを得ている。今回の入札でも談合がおこなわれていて、この役人は目の前で袖の下(賄賂)をやりとりしているのを見たという。そこで沢嶋はそれが昨晩と聞きだし、タイムワープして収賄の実態を録画することにした。
20時間前にワープし、役人にお願いして部屋にはマイクロカメラを設置しておいてもらった。マイクロカメラの映像では、今回の橋かけかえの工事担当役人荻原半兵衛と建設業者の伊勢屋が食事をしながら話をしていた。伊勢屋は手土産の饅頭を差し出した。その饅頭の下には小判が敷き詰められていた。このようなやり取りは日常化しているようで、2人とも慣れているようだった。さらに伊勢屋は上方で手に入れた珍しい京人形を持ってきたといって大きな箱が持ってこさせた。箱を開けると京人形ではなく女の人が入っていた。賄賂政治で有名な安永・天明時代の老中田沼意次にも京人形と称して生身の女性が送られていたりした。女性で気をよくした荻原は今回の作事の上限額は2300両だからうわまわることのないようにと教えた。
賄賂の受け渡しのスクープをとった沢嶋にナビゲーターの古橋ミナミ(杏)から新しい情報が知らされた。このような賄賂以外にも裏でお金が動いている。入札は誰でもできるものではなく、入札するために権利としてたてものを送らないといけなかった。たてものとは業者が入札に参加する前に担当役人へ送る賄賂のことだった。たてものがないと入札に参加することすらできず、工事が終わった後にはお礼として担当役人に送る礼物(礼物)という賄賂もあったらしい。礼物は100両から1000両で、現在では2億円くらいにもなった。
11月8日、賄賂や談合が横行する閉鎖的な建設業界を打破しようと源三郎は行動を開始した。今回の工事の入札に参加し工事の不正の実態を暴こうとしていた。入札に参加するためにはまずは作事奉行の役宅へ行き、御仕様帳を写し取らなければいけない。そのために付け届けを用意したが、賄賂としての大金までは用意できなかった。しかし、秘策があるようで小判の入っていない菓子箱を持って源三郎は作事奉行の役宅へ向かった。役人がでてきたので、源三郎が自己紹介をし今回の橋のかけなおしの御仕様帳を写させてもらうにお願いしたが門前払いを食らいそうになった。しかし、源三郎がそれとなく手土産を示すと役人は源三郎を中に入れてくれた。続いて入ろうとする沢嶋は珍奇な身なりだといわれ止められたが、特殊な交渉術を使って入ることに成功した。最初のシーズンからずっと交渉術の内容が明かされていないがとても気になる。
源三郎は部屋に案内されて待たされた。しばらく待っていると廊下から伊勢屋が京人形として送った遊女が現れた。名前はお富と言い、伊勢屋が芸者小屋から買い入れた女郎だったが源三郎とは昔馴染みの知り合いだった。お富は伊勢屋の持ってきた饅頭の下に200両くらい敷き詰められていたことを教えた。お富はイカサマ入り札で受注した手抜き工事により橋が崩れ両親を亡くしていた。当時、入札競争が激しくなるにつれ費用を抑えるために手抜き工事が頻発していた。お富はその被害者の1人であり、今後そういう人がでないためにも源三郎に協力しているのだった。お富は荻原の部屋に行き誰もいないのを確認し、戸棚から伊勢屋が送った饅頭箱をだした。源三郎の作戦は荻原が受け取った賄賂を盗み出して使う作戦だった。お富は小判を袋に詰め替え、饅頭箱を元に戻した。お富が部屋を出ていこうとしたときに荻原が入ってきたが、お富はなんとか隠れることができた。最悪なことに荻原が戸棚に近づいたが、運よく部下が源三郎の来訪を荻原に伝えに来た。その隙にお富は部屋から脱出した。お富は盗み出したお金を源三郎に渡した。源三郎は持ってきた箱に小判を詰め替えて、たてものとして荻原に渡し入札権をもらう予定だった。一方、荻原は部下から源三郎のことを聞かされ、帰してしまえと言ったが、源三郎が袖の下を持ってきたことを伝えると会ってみようと考えを変えた。そして部屋からでた。
源三郎とお富は急いで小判の詰め替え作業をした。荻原が部屋にやってくる間一髪で詰め替え作業は終わり、お富は陰に隠れることができた。そして、隙を見てお富は部屋から抜け出すことができた。源三郎は緊張しながらも今回の工事を受注したいので御仕様帳を写させてほしいとお願いした。荻原は前置きは良いと言うと、源三郎はういろう餅の菓子箱を差し出した。荻原が箱の中身を調べ自分の金とも知らずに笑みを浮かべて、橋の仕様帳持ってくるように部下に命じた。入札権は許可され、源三郎は仕様帳を2時間かけて写し終えた。仕様帳には、5つの仕様があり、橋の土台の材木一式、高欄(手すり)の用材、石材と金物の仕様、大工と鳶口の手間賃が書かれていた。源三郎のところでできそうな仕事で、あとは戻ってから目論見帳を書くだけだった。
役宅をでたところで、伊勢屋の手代が声を掛けてきた。伊勢屋はひそかに源三郎の動向を監視していたのだ。沢嶋はとめられ、源三郎だけ連れていかれた。沢嶋はカメラを回し続け、高感度マイクで会話の内容を聞き取ることに成功した。連れていかれた先には伊勢屋がいて、談合の仲間になっていただけないかと源三郎は誘われた。伊勢屋は落札は持ち回りになっていて今回は伊勢屋が2200両で落札することが決まっていることを話した。なのでくれぐれもそれよりも下の値は書かないで下さいと頼み、源三郎には見返りとして2両は渡されていた。
源三郎は家に帰り目論見をつくると、ざっと1000両でできる工事だと言った。それを伊勢屋が2200両で落札しようとしていると源三郎は怒った。では、1000両くらいで落札するかときかれると違うといい、談合に参加するわけでもないがあちらがどうでるか確かめると源三郎は答えた。
翌日、入札の日となった。荻原の屋敷で担当役人の荻原の監視の元、入札が行われた。ここに集まっている業者もすべて伊勢屋と談合の約束している者ばかりだった。名前を呼ばれた者から順に入札を行う。事前に入札額を書いた札を中が見えないよう紙に包み、役人の前の入札箱に入れていく。淡々と入札は進んでいく。相手の出方を見ると言っていた源三郎も普通に入札し、最後に伊勢屋が入札をした。入札が終わると役人たちは別の部屋に行き、入札箱を確認する作業となった。伊勢屋の顔には笑みが見える。
10分後、役人が戻ってきて発表となった。短時間で結論がでたということは特にトラブルはなかったと思われる。落札者は源三郎と発表された。業者たちに動揺が走り、伊勢屋は源三郎に「うらぎったのか、いくらと書いた?」と詰め寄った。源三郎は「値よりも下の金額は書くなと言われていたが同じ金額は書いてはいけないと言われていないので2200両と書いた」と答えた。その隙に荻原は急いで部屋をでていった。すがりつく伊勢屋であったが、役人にとめられた。源三郎は「それと伊勢屋からもらった2両を入札の紙に一緒にいれた」と続けて言った。「金さえ包めば大工の腕も何も関係なく工事を受注できるのが今の実態だ」と源三郎は怒りを露わにした。しかし、思惑がはずれた業者たちが源三郎に襲い掛かった。沢嶋も同時に襲われた。
そこに女性の悲鳴が聞こえ、煙が部屋に充満しはじめた。源三郎の危機を察知したお富がぼや騒ぎを起こし、源三郎を救いにきた。お富はひそかに奪った入札箱を持ってきて、混乱に乗じて源三郎と沢嶋と共に役宅から逃げ出した。そのまま走り続けた。到着したのは菅沼伊賀守忠義という前の作事奉行で今は江戸城務めの役人の屋敷だった。屋敷に入れてもらうと菅沼に入札箱の中身をみせ、伊勢屋が2200両で落札することにしていたのを伝えた。入札額はどれも2200両以上でほとんど差がなく不自然なものだった。菅沼も昨今の入札の不正に頭を痛めていて、源三郎から相談を受けていたのだ。これなら立派な証拠になると、菅沼は上役に吟味してもらうと約束した。ほとぼりが冷めるまで源三郎とお富にはこの屋敷で身を隠す方がいいとすすめた。屋敷に入る2人の姿を見送り、沢嶋は今回の取材を終わらせた。


入札制度は本来、公正な取引をするために採用された制度である。にもかかわらず私利私欲のために不正行為に走ってしまう者たちがいた。時代が変わってもこうしたインチキは果てることなく続いている。しかし、大きな力を恐れず戦った者たちがいたのも事実である。名もなき彼らが歴史の教科書に載ることはない。だが、その勇気ある行動はまさに記録に値する。
その後の調査によると1661年、相次ぐ不正に対処するために幕府は談合を禁じる通知を出した。萩原と関係業者は厳格に取り締まられ、工事は源三郎が任されることになった。低コスト高品質の建築が評価されその後も源三郎は多くの工事を受注していった。